シルデマンを服用できない人とは?持病や体質などの理由から薬が合わないケース

シルデマン解説

シルデマンは誰でも服用できるわけではありません。

過敏症や健康状態などの特定の条件に該当する人では、薬の使用が禁忌になるケースもあります。

この記事では、シルデマンが禁忌になる条件や、服用に注意が必要なケースを詳しく解説。

シルデマンの利用に関心のある方々にとって、安全かつ適切な使用のための情報を提供します。

シルデマンの使用が禁忌にあたる人

禁忌とは、患者の健康や安全を守るため、特定の患者や状況に対して、その医薬品が使用されるべきではないという制限を指します。

禁忌に該当する人がその薬を使用した場合、重大な健康被害が生じる危険があるため、絶対に避けなくてはなりません。

シルデマンの先発薬であるバイアグラの添付文書では、以下に該当する人を禁忌に指定しています。

  1. 過敏症の既往歴がある人
  2. 心血管系障害を有するなど性行為が不適当と考えられる人
  3. 重度の肝機能障害のある人
  4. 低血圧の患者または無治療の高血圧の患者
  5. 脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近6ヵ月以内にある人
  6. 網膜色素変性症の患者
  7. 併用禁忌にあたる薬を使用中の人

以下、禁忌の条件や危険について詳しく解説します。

参考:医療用医薬品 : バイアグラ (2.禁忌) – KEGG DRUG

①過敏症の既往歴がある人

過敏症とは、いわゆるアレルギーのことです。免疫系が異物や特定の物質に対して過剰な反応を起こす状態を指します。

アレルギー反応は軽度から重篤なものまでさまざまであり、薬物アレルギーの場合、呼吸困難、じんましん、血圧の急激な低下などの重篤な症状が生じる可能性があります。

シルデマンの有効成分であるシルデナフィルを使用して過敏症が生じた経験のある人は、シルデマンを服用することができません。

医師は、バイアグラの代わりに別の勃起不全治療薬を検討するか、過敏症リスクを評価し、必要な措置を講じるかもしれません。また、過敏症反応に対処できるように、必要な医療措置や薬物(例:抗ヒスタミン薬、ステロイド、エピネフリン)が利用可能であるかどうかを確認するように相談することが大切です。

実際、先発薬であるバイアグラの国内の臨床試験では、「かゆみ」、「眼瞼そう痒感」、「発疹」が、また外国の臨床試験では因果関係があるとされた「発疹」が、過敏反応の関与が否定できない副作用症状として報告されています。過去の過敏症の経験がある患者は、事前に医師と十分な相談を行い、安全な治療法を検討することが不可欠です。

②心血管系障害を有するなど性行為が不適当と考えられる人

性行為中には心拍数、血圧、心筋酸素消費量が増加するため、特に心血管系障害を有する患者においては注意が必要です。

過去6ヵ月以内に心不全、不安定狭心症、あるいは生命に危険のある不整脈を経験した患者は、性行為が不適当とされ、シルデナフィルの臨床試験では除外されました。

そのため、これらの患者にはシルデマンの使用が禁忌となります。性行為に伴う身体への負荷が増加することから、慎重な医師の監修のもとで検討されるべきです。

状態によっては、他の治療法やアプローチが適切である場合があります。患者や医師は、性行為に関連するリスクや禁忌事項について十分な情報を共有し、慎重かつ適切な治療選択を行うべきです。

③重度の肝機能障害がある人

肝硬変など重度の肝機能障害のある患者においては、肝臓の機能が著しく損傷しているため、シルデマンを使用できません。

有効成分シルデナフィルは肝臓で代謝されるため、肝機能が低下するとその代謝と排泄が遅くなり、薬物が体内に蓄積します。これにより、シルデマンの効果が強化され、副作用のリスクが増加します。

重度の肝機能障害を有する患者がシルデマンを使用すると、薬物の血中濃度が増加し、これが全身への影響をもたらします。同時に、他の薬物の代謝にも悪影響を及ぼす可能性があります。

肝臓に不安のある人は、シルデマンを服用する前に医療機関で検査を受け、その結果に基づいて医師から最適な治療法を提案してもらうことが大切です。

④低血圧の患者または無治療の高血圧の患者

低血圧の患者または無治療の高血圧の患者に対しては、シルデマンを使用できません。

低血圧の場合(最大血圧が90mmHg未満または最小血圧が50mmHg未満)、シルデマンを使用すると、薬物の血管拡張作用により血圧がさらに低下し、立ちくらみ、めまい、ふらつき、頭痛、倦怠感などの症状が悪化する可能性があります。これにより、日常生活に支障をきたすだけでなく、重篤な状態に至る危険性も考えられます。

高血圧の場合(最大血圧が170mmHg以上または最小血圧が100mmHg以上)、シルデマンを使用すると、血管拡張作用によって、すでに圧力のかかっている血管にさらなる影響を及ぼす可能性があります。急激な血管の拡張は臓器への血流障害を引き起こし、生命維持に関わる臓器に危険が及ぶ可能性があるため、高血圧の治療が優先されるべきです。

血圧に不安のある方は、シルデマンを服用する前に医師に相談して適切な治療法を受けるべきです。

⑤脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近6ヵ月以内にある人

脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近6ヵ月以内にある患者は、シルデマンを服用できません。

脳血管障害後の患者では、脳循環を一定に保つ自動調節能が障害され、血圧下降が脳循環の低下に結びつく可能性が指摘されています。

シルデナフィルには血管を拡張させ、血圧を一時的に下げる効果があるため、これらの患者にとっては脳に負担をかける可能性が高まります。

よって過去6ヵ月以内に脳梗塞・脳出血の既往のある患者は、シルデナフィルの臨床試験では対象から除外されました。

同様にシルデナフィルおよび性行為そのものが及ぼす心臓への負担から、心筋梗塞の既往歴がある患者もシルデマンを使用するのは危険です。

⑥網膜色素変性症の患者

網膜色素変性症(進行性の夜盲)と診断された方は、シルデマンを服用できません。

網膜色素変性症とは、子供の頃に夜盲症状から始まり、次第に視野が狭まっていき、最終的には失明につながる可能性のある、双眼性の遺伝性網膜疾患です。

原因としては、ホスホジエステラーゼ6(PDE6)の遺伝子異常が関与しています。これは、PDE5阻害剤であるED治療薬が症状に影響を及ぼす可能性があることを意味しています。

またバイアグラの主要な副作用の中には、ぼやけ、色覚異常、視野の狭窄などの視覚に関する症状が含まれます。

網膜色質変性症の患者は既に視覚に問題を抱えているため、バイアグラの使用が視覚に及ぼす影響は危険です。

⑦併用禁忌にあたる薬を使用中の人

シルデナフィルとの併用が禁忌に指定されている薬を服用中の人は、シルデマンを使用できません。

シルデナフィルの併用禁忌薬としては、以下が挙げられます。

  • 硝酸剤及びNO供与剤
  • アミオダロン塩酸塩
  • sGC刺激剤

それぞれの医薬品の概要や併用した場合のリスクなどの情報については、以下の記事で詳しく紹介しています。

シルデマンを慎重に使う必要がある人

医薬品では、その医薬品を使用する際に特別な注意を要する特定の患者や患者グループが指定されている場合があります。

禁忌ではないものの、医薬品を使用する前に健康状態を確認する、用量を調整するなど、慎重な投与が必要になります。

バイアグラの添付文書には「特定の背景を有する患者に関する注意」として、以下の患者を挙げています。

  1. 脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近6ヵ月以前にある人
  2. 陰茎に構造上の欠陥がある人
  3. 持続勃起症の素因となり得る疾患がある人
  4. PDE5阻害薬又は他の勃起不全治療薬を使用中の人
  5. 出血性疾患又は消化性潰瘍のある人
  6. 多系統萎縮症のある人
  7. 腎機能障害の患者
  8. 肝機能障害の患者(重度を除く)
  9. 高齢者

参考:医療用医薬品 : バイアグラ (9.特定の背景を有する患者に関する注意) – KEGG DRUG

以下、患者の条件やリスクについて詳しく解説します。

①脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近6ヵ月以前にある人

先述したとおり、脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近6ヵ月「以内」にある人はシルデマンを服用できません。

シルデナフィルの血管拡張作用が血圧に影響を及ぼし、脳や心臓に負担をかける可能性があるためです。

一方で、上記疾患の既往歴が最近6ヵ月「以前」にあった人においては、禁忌ではありませんが、慎重な投与が必要とされています。

シルデマンの服用を始めるまえに、医療機関で検査を受けて、心血管系障害の有無などを十分確認する必要があります。

②陰茎に構造上の欠陥がある人

陰茎の構造上の欠陥(例:屈曲、陰茎の線維化、Peyronie病など)を有する患者は、シルデマンの使用に際して特に注意が必要です。Peyronie病は、陰茎海綿体白膜の線維性硬結を主徴とする疾患であり、陰茎硬化症とも呼ばれています。この病態では硬結が形成され、勃起時に陰茎の痛みと屈曲を引き起こすことがあり、性交困難や性交不能の症状が現れることがあります。

陰茎の線維化は、Peyronie病以外にも長時間の持続勃起症によって引き起こされることが知られています。同様に、陰茎の屈曲は、勃起時に外力が加わることによって陰茎折症の症状として現れることがあります。これらの構造上の欠陥を有する患者は、性行為が困難であり、勃起時に痛みを伴う可能性があります。

したがって、陰茎の構造に欠陥がある患者は、シルデマンの使用を検討する際には医師との相談が不可欠です。シルデマンは血管拡張作用を有し、勃起を促進する働きがありますが、陰茎の構造上の問題がある場合、逆に症状を悪化させる可能性があるためです。

③持続勃起症の素因となり得る疾患がある人

持続勃起症(priapism)とは、性欲を伴わない陰茎の持続的で不可逆的な勃起状態を指します。陰茎海綿体からの血液流出が障害されるか、流入する血液量が増加して海綿体にうっ滞することによって発症し、痛みを伴いながら6時間以上も勃起が持続する症状が現れます。

持続勃起症はさまざまな血液疾患に関連しており、鎌状赤血球性貧血では、赤血球変形能の低下に伴う血液粘度の上昇が原因で、血液がうっ滞して持続勃起症が発生すると考えられています。

同様に、多発性骨髄腫でも血液粘度の上昇を原因として持続勃起症がおきるとされています。白血病では末梢血白血球の異常な増加により、持続勃起症が誘発されると考えられています。このような疾患において、勃起が数時間も続くと酸素供給が不足し、組織が損傷を受ける可能性があります。

したがって、鎌状赤血球性貧血、多発性骨髄腫、白血病など持続勃起症の素因となり得る疾患を有する患者は、シルデマンを服用できません。

④PDE5阻害薬又は他の勃起不全治療薬を使用中の人

PDE5阻害薬とは、同じ作用機序である「PDE5阻害」を介して効果を発揮する薬剤の総称です。シルデマンやバイアグラのほか、別タイプのED治療薬であるシアリスやレビトラもPDE5阻害薬に含まれます。

これら同じ作用機序を有する薬剤を併用した場合の安全性は確認されていません。シルデマンと他のED治療薬を同時に摂取するのは控えましょう。

またシアリスの有効成分としても知られるタダラフィルは「肺動脈性肺高血圧症」の治療にも使われる成分です。肺動脈性肺高血圧症の患者は、治療に使っている薬剤とシルデマンの併用の可否を医師に相談してください。

またPDE5阻害薬以外にも、EDの治療を目的として、男性ホルモン剤や抗不安剤の服用、陰茎海綿体内に血管作動薬の注入などの治療を行っている場合にも、併用による安全性が確立されていません。

すでに別のED治療を行っている場合には、シルデマンの併用の可否に医師関して医師の指示を仰ぐことが大切です。

⑤出血性疾患または消化性潰瘍のある人

シルデマンは、血液を固めて傷口を塞ぐ「血小板凝集能」という血小板の働きに影響を及ぼす懸念があります。

血小板には、シルデナフィルが作用を及ぼす「ホスホジエステラーゼ タイプ5(PDE5)」が分布しているためです。

実際に、シルデナフィルとニトロプルシドナトリウムを併用した実験では、血小板凝集抑制作用を増強することが認められています。

血小板凝集能が低下することで、出血性疾患(血液が固まりづらくなる疾患)または消化性潰瘍の治癒に悪影響が生じる危険があり、当該疾患を有する患者がシルデナフィルを使用した場合の安全性は確立されていません。

⑥多系統萎縮症のある人

多系統萎縮症とは、中枢神経系の機能が徐々に低下する神経変性疾患の一つです。主に成人に発症し、進行性の自律神経機能の障害や運動障害を特徴とします。

外国の臨床試験では、多系統萎縮症または特発性パーキンソン症候群を併発する勃起不全患者を対象にシルデナフィルが投与され、その結果、多系統萎縮症かつ起立性低血圧のある患者の一部に重度の血圧低下が確認されました。

多系統萎縮症は自律神経系の障害により、しばしば起立性低血圧の症状が現れることが知られています。この特有の状態において、シルデマンの使用が原疾患による起立性低血圧を悪化させる可能性があります。

⑦腎機能障害の患者

腎機能障害を抱える患者がシルデマンなどのED治療薬を使用する際には、その薬物の代謝機能が低下しているため、通常よりも血中濃度が上昇しやすくなります。

通常よりも薬の作用が強くなったり、作用時間が長くなる可能性があるため、慎重な使用が必要です。

シルデナフィルでは1回25mg(シルデマンの1/4錠)の少量から始めることが推奨されています。

透析を受けている患者や腎移植を受けた患者であっても、禁忌にはされていませんが適切な服用量については主治医やED治療専門医と事前に相談することが重要です。

⑧肝機能障害の患者(重度を除く)

記事の冒頭で述べたように、肝硬変など重度の肝機能障害を有する患者では、シルデマンを服用できません。

シルデナフィルは肝臓で代謝されるため、肝機能が低下すると通常よりも薬物が体内に蓄積して、副作用のリスクが増加するためです。

比較的軽度な肝機能障害であったとしても、1回25mg(シルデマンの1/4錠)の少量から飲み始めるなど、慎重な投与が必要とされています。

⑨高齢者

高齢者では、腎臓の機能が低下している人が多く、シルデマンを服用した場合、成分の血中濃度が通常よりも高くなるおそれがあります。

実際に65歳以上の高齢者にシルデナフィルを投与した臨床試験では、血中濃度の増加や延長が確認されました。

高齢者がシルデマンを使用する場合には、1回25mg(シルデマンの1/4錠)の少量から始めることが推奨されます。

妊活中の男性でも服用できる

妊活中の男性がシルデマンを服用するのは問題ありません。

実際にバイアグラの販売元であるファイザー社が行った臨床試験では、シルデナフィルが男性の精子に影響を及ぼさないことが確認されています。

臨床試験では、健康な成人男性に対してシルデナフィル100mgが投与されました。精液中への成分の移行率は非常に低く、投与1.5時間後の精液中のシルデナフィルの量はわずか0.0002%未満でした。

この試験では、妊娠に関わる重要な項目である精子の運動量や数、射精時の精液量などにおいて投薬前後で変化は観察されませんでした。

つまり、シルデナフィルの摂取が胎児に対して影響を及ぼす心配はなく、妊活中の男性が安心して利用できることが示されています。

何歳から服用できる?

シルデマンを服用できるのは20歳以上の男性です。

そもそもシルデマンを販売している個人輸入代行サイトを20歳未満の人は利用できません。

また個人輸入は、購入者本人が使用する場合に限って薬の販売が許可されています。

本人が個人輸入代行サイトを使ってシルデマンを入手することは不可能であるうえ、20歳以上の人に買ってもらうことは違法にあたります。

また先発薬であるバイアグラにおいては明確な年齢制限が記載されていませんが、添付文書における用法用量の項目は成人が使用することを前提として記述されています。

通常、成人には1日1回シルデナフィルとして25mg~50mgを性行為の約1時間前に経口投与する。

引用:医療用医薬品 : バイアグラ (添付文書情報) – KEGG DRUG

未成年が使用する場合の用法用量は記載されておらず、安全性や有効性を実証する臨床試験も実施されていません。

シルデマンを服用できない人についてまとめ

この記事では、シルデマンを服用できない人や服用に注意が要る人などについて紹介しました。

シルデマンの禁忌事例では、過敏症の既往歴や心血管系障害、肝機能障害、低血圧、脳梗塞などが挙げられ、これらの条件に当てはまる人は絶対に使用すべきではありません。

慎重に使用が必要なケースでは、脳梗塞既往歴、陰茎構造欠陥、勃起不全治療薬使用者、出血性疾患、腎機能障害、高齢者などが含まれます。

妊活中の男性はシルデマンを安心して利用でき、精子への影響は確認されていません。

シルデマンは20歳以上の成人男性向けであり、未成年者の利用は不可です。

自身の健康状態や体質、服用中の薬などを確認して、安全にシルデマンを服用しましょう。

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