シルデマンの副作用は？頭痛やほてりがおきる頻度や仕組みなど徹底解説。

この記事ではシルデマンの副作用に焦点を当て、頭痛やほてりから、まれながら深刻な持続勃起症や心臓に至るまで、その効果とリスクについて解説します。

さらに、シルデマンの使用に際して知っておきたいQ＆Aや注意点についても詳しく紹介します。シルデマンを安全かつ効果的に利用するための貴重な情報が満載です。

シルデマンの主な副作用

シルデマンの有効成分であるシルデナフィルでは、頭痛やほてりといった副作用が報告されています。

各副作用の発現頻度については、シルデマンの先発薬であるバイアグラのインタビューフォームに記載されています。

以下のデータは、国内および外国の臨床試験と、日本で行われた使用成績調査で報告された症状を合計したものです。

症状	発現例数	割合
血管拡張（ほてり、潮紅）	239	5.78%
頭痛	160	3.87%
消化不良	32	0.77%
めまい	21	0.51%
動悸	17	0.41%
鼻咽頭炎	17	0.41%
悪心	12	0.29%
口渇	10	0.24%

参考：バイアグラ錠ODフィルム25mg50mg_インタビューフォーム

以下、シルデマンで起こり得る主な副作用について、それぞれ詳しく解説します。

血管拡張（ほてり・潮紅）

シルデマン（シルデナフィル）の血管拡張作用により、主に顔面の血管が広がり、ほてりや頬の紅潮が現れることがあります。この症状は、陰茎の血管だけでなく、他の部位の血管も一時的に拡張されることに起因しています。外見的には、アルコールを摂取した際のように顔が赤く見え、これが気になることがあります。

お酒を摂取したときに顔が赤くなる傾向がある方にとっては、顔のほてりや紅潮がより顕著に現れる可能性があります。しかしこれらの症状は通常、シルデマンの効果が終息すると自然に治まります。ほてりや紅潮は比較的無害な副作用であり、過度に心配する必要はありません。

シルデマンの効果が発現すると同時に、これらの血管拡張に伴う症状も表れますが、それは薬物が正常に作用している証拠と考えることができます。ただし、異常な症状や持続的な不快感が感じられる場合は、医師に相談することが重要です。

頭痛

シルデマンの血管拡張作用が強く現れる際、頭部や脳内の血管も拡張され、神経が刺激されることで頭痛が発生することがあります。低血圧の方やお酒を摂取すると頭痛が起こりやすい方は、特にこの副作用に対して敏感である傾向があります。

頭痛は、血管拡張の副作用の次に発生率が高いものの、通常は軽度で一時的な症状です。シルデマンの効き目が終息すると自然に治まることが期待されます。ただし、頭痛が強烈であると、性行為に十分に集中できず、結果的にシルデマンの効果が低く感じられることがあります。

頭痛を強く感じる場合は、一時的に性行為を中断し、十分な休息を取ることが重要です。症状が出やすい場合には、市販の頭痛薬の使用も考慮されます。

症状が続く場合や異常な症状が見られる場合は、医師に相談することが必要です。

消化不良・悪心

シルデマンの服用により、まれに胃腸機能が低下し、食べた物の消化・吸収が悪くなることがあります。この影響によって腹痛や胃腸の不快感、悪心（胸のむかつき）といった症状が発生する可能性があります。特に胃腸が弱い方は、この副作用が現れやすい傾向があります。

シルデマンには陰茎の平滑筋を弛緩させ、血管を拡張して勃起を促す作用がありますが、時折、他の平滑筋も影響を受けることがあります。この影響が胃や消化器官の平滑筋に及ぶと、消化不良や悪心の症状が生じる可能性があります。また、平滑筋の弛緩により胃酸が逆流し、「胸やけ」「胃食道逆流症」などの症状も引き起こすことがあります。

これらの症状は通常、一時的で軽度なものであり、シルデマンの効果が終息すれば自然に治まることが期待されます。

めまい

シルデマンの影響によってめまいが生じる仕組みはよく分かっていません。

先発薬であるバイアグラのインタビューフォームには、シルデナフィルの血管拡張作用の関与を示唆する記述があります。

「めまい」は本剤の薬理作用であるホスホジエステラーゼタイプ 5（PDE5）の阻害を介する全身の血管拡張とそれに伴う起立性低血圧が関連している可能性がある。
引用：バイアグラ錠ODフィルム25mg50mg_インタビューフォーム

起立性低血圧とは、立ち上がる際に血圧が急激に低下することで、めまいやふらつきなどがおきる症状のことです。

シルデマンの血管拡張作用が全身に及ぶことで、血圧が低下する場合があるため、起立性低血圧がおこりやすくなります。

動悸

シルデマンの血管拡張作用は、心臓にも影響を与え、通常感じない自分の心臓の鼓動が強く速くなり、「動悸」として現れることがあります。特に不整脈の方や高齢者は、この副作用をより感じやすい傾向があります。

動悸は、心臓が普段よりも強く脈打ったり、激しく鼓動したりする症状であり、急激な鼓動は不安や不快感を伴います。

ただし、シルデナフィルはもともと狭心症の治療薬として開発されたものであり、心臓への負担を軽減する作用も持っています。動悸の症状が急に現れても、心臓が止まる心配はありません。不安を感じる場合や症状が持続する場合は、医師に相談して適切な対応を取ることが重要です。

鼻づまり

シルデマンの血管拡張作用により、鼻の粘膜が充血し、「鼻づまり」として症状が現れることがあります。これは鼻への血流が増加することにより、膨らんだ粘膜が鼻腔を塞ぐ影響があるためです。

シルデマンによる鼻づまりは通常、前鼻漏や後鼻漏の症状を伴いません。また、これは「薬物性鼻炎」と呼ばれ、血管拡張の影響が一時的であるため、シルデマンの効き目が終息すると自然に治まる傾向があります。

症状が持続する場合や不安を感じる場合は、医師に相談して適切な対応を検討することが重要です。

その他の副作用

一般的な副作用ではないものの、危険な症状として先発薬バイアグラの添付文書で注意喚起されているまれな副作用を紹介します。

持続勃起症（立ちっぱなし）

シルデナフィルのごく稀な副作用として、「持続勃起症（プリアピズム）」が報告されています。これは通常、白血病などの血液疾患を抱える方や、用法用量を度外視して過剰なシルデナフィルの服用が原因となる極めてまれな症状であり、シルデナフィルの正規使用ではほとんど発生しません。

持続勃起症は陰茎が持続的かつ不可逆的な勃起状態になる症状で、この状態が6時間以上続くと陰茎組織が損傷し、勃起機能が永続的に損なわれる可能性があります。外国での市販後の報告例では、4時間以上の持続勃起や痛みを伴う6時間以上の持続勃起が報告されています。

この症状が現れた場合は、速やかに医師の診断を受けることが不可欠です。処置が遅れると、組織が酸素欠乏になり損傷し、持続的な勃起機能の損失が生じる可能性があるため、迅速な医療介入が求められます。患者はこのような症状に遭遇した場合、ただちに医療専門家と連絡を取り、適切な治療を受けるべきです。

心臓に関する有害事象

シルデナフィルに関する外国での市販後の自発報告において、心血管系の重篤な有害事象が報告されています。これには心原性突然死、心筋梗塞、心室性不整脈、脳出血、一過性脳虚血発作、高血圧などが含まれています。

報告例では、これらの事象がシルデナフィルの投与後に発現し、一部は性行為中や性行為後に認められました。ただし、性行為なしに本剤投与後に発現した事例も報告されています。

これらの症例において、本剤、性行為、患者が元々有していた心血管系の障害、およびこれらの要因の組み合わせがどれほど直接関連しているかは確定できないとされています。

患者はシルデマンの使用に際して、既存の心血管系の状態やリスクを考慮し、必要に応じて医師との相談を行うべきです。

NAION（視覚の異常）

シルデナフィルなどのED治療薬の使用中に、非動脈炎性前部虚血性視神経症（NAION）が発症する報告があります。NAIONは視力低下や視力喪失を引き起こす病態であり、バイアグラの添付文書には低頻度発生する副作用として記載されています。

ただし、シルデナフィルが直接的にNAIONを引き起こしているかどうかは不明確であり、通常のNAIONの危険因子を有する患者が報告されています。これらの危険因子には年齢50歳以上、糖尿病、高血圧、冠動脈障害、高脂血症、喫煙などが含まれます。

シルデマンを使用する際、急激な視力低下が生じた場合には直ちに医師の診察を受け、過去にNAIONの病歴がある場合はリスクを理解して慎重に服用する必要があります。

先発薬バイアグラでは死亡例が報告されている？

シルデマンの先発薬であるバイアグラでは、使用後に死亡した症例が報告されています。

亡くなったのは60代の男性です。知人からもらったバイアグラを1錠服用した後、性行為中に倒れてしまいました。家族が異変に気づき、救急隊を呼んだところ、到着時には既に心肺停止状態であり、心肺蘇生術が試みられましたが、男性は最終的に死亡しました。

亡くなった男性はもともと危険因子を抱えていた

調査から判明した事実は、この男性が元々冠状動脈疾患の危険因子を抱えており、かつ不整脈治療の一環としてニトログリセリンを使用していたことでした。通常、ほとんどの薬と併用可能なED治療薬であるバイアグラでも、ニトログリセリンとの併用は厳重に避けるべきであり、この事例のように深刻な結末につながる可能性があります。

バイアグラが発売された当初からの報告では、性行為後に数時間から数日以内に死亡した症例において、死亡者の大部分が元から冠状動脈疾患のリスクファクターを有していたことが指摘されています。

シルデナフィルを使用する際、特に心血管系のリスクを抱えた患者は、医師の診断と指導のもとで慎重に使用する必要があります。それにもかかわらず、バイアグラを誤って併用禁忌の薬と使用する事例が散見され、これが重大な結末に至る可能性があることに留意が必要です。

シルデマンの副作用に関するQ＆A

シルデマンの副作用に関する疑問をQ＆A形式で解説します。

Q1.副作用はいつまで続く？

シルデマンの副作用は、発症後、有効成分が体内で分解されるにつれて次第に軽快します。通常、服用から3時間半で有効成分の血中濃度が半減し、5時間経過でほとんどが分解されます。したがって、副作用もその頃には消失し、一過性の現象といえます。

Q2.飲み過ぎで副作用がおきる？

シルデマンの有効成分であるシルデナフィルを過剰に摂取すると、血圧の急激な低下などの副作用のリスクが増加します。体に悪影響を及ぼす可能性があるため、必ず適正な量を守って摂取することが重要です。医師の適切な指導と処方のもとで正しく使用すれば、シルデマンは基本的に安全な薬剤であり、誤った摂取がない限り大きなトラブルや副作用の心配はほとんどありません。

Q3.血圧への影響は？

シルデマンの主成分であるシルデナフィルは、血管を拡張させて血流を増加させる効果があります。この血管拡張作用により、血圧がわずかに低下することがあります。服用後には、体調や個人の健康状態によって、軽い頭痛やほてりといった副作用が生じることもあります。

高血圧症や低血圧症の方にとっては、シルデマンの使用が制限されることがあります。また、シルデマンは他の血圧降下薬との併用に際しても注意が必要です。

Q4.頭痛薬は飲んでも平気？

シルデマンの副作用で頭痛が発生する場合、「ロキソニン錠」のような消炎鎮痛剤の併用が効果的です。この薬は服用後約20分で効果を発揮し、シルデマンと同様に約4～5時間の作用が期待できます。ただし、シルデマンは空腹時に服用することで最大限の効果が得られますが、ロキソニンは空腹時を避けるべき薬です。一部の人にとって胃粘膜を荒らす副作用があるため、胃の弱い方は胃薬と一緒に摂ることがお勧めです。